とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『クロウ…失敗したらどうなるか…覚えとけよ…?』
キレたアランの凄みは半端なく、何をされるかを想像して右京はブルッと身震いした。
…やべぇっ!!…帰りたくない…!
『ヒューガ。お前もマルバスを確実に捕らえろ。』
『や、やってみるよ。』
『やってみる…?何を言っている…やるんだよ!!』
虎太郎は誰も居ないライヴハウスの屋上で一人『はいっ!!』と直立不動になった。
そして二人は思った…“悪魔なんかよりアランの方が何倍も怖いっ!!”と。
プレッシャーで異様に喉が乾く。
ゴクリと唾を飲んだ右京の耳にロイの声が聞こえた。
『…客の入場を開始したみたいだ。』
ハッとして頭を振り雑念を払う。
『了解。』
右京はキャップを深く被り直すと、気を引き締めるのだった。