とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ゲートでチケットを渡すと忍は壁のポスターを見て胸が高鳴った。
それはリサも同じらしく、二人同時にため息を漏らす。
『テリー素敵…。』
『ホント…早くあの歌声が聴きたい!』
『あ、でも…』とリサは口元に手を当てて天井を仰ぐ。
『これって“浮気”かしら?』
『はぁ!?違う…と思う…けど?』
つい先日のアダムとの出来事を思い出し、語尾が濁る。
…あの時の右京、私が浮気したと思ったのかな…。
が、すぐに頭をブンブンと振ってその考えを追い出す。
『浮気じゃないわ!…うん。』
どこか自分に言い聞かせているような忍をリサはクスッと笑った。
『なんか言い訳っぽい!』
そう言われ、忍は頬を膨らませながら彼女からポスターに視線を移した。