とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
右京は暗闇に蠢くステージ上のメンバーに視線を落とす。
スタッフが急いで捌ける様子を見て『開演だ…』と呟いた。
ステージにスポットライトが当たり、ドラムの音と共に姿を現した“vale”に観客が割れんばかりの歓声を上げた。
辺りが熱気に包まれ、異様な盛り上がりを見せる。
右京は客席に視線を巡らせ忍達を探した。
…居た…!
フロアの端に忍とリサが見えた。
彼女らはステージに夢中になっていたが、リサは時折何かを警戒しているようだった。
『リサの奴…何か感付いたな…』
『ふっ…さすが。』
右京の言葉に虎太郎はクッと口角を上げた。
とりあえず、いざって時にリサが反応してくれるのを願う。