とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



宙を舞いながら違和感を感じた。



…まるで手応えがなかった…?



碧眼がゆらゆらと漂う影を睨む。



『…違う…?』



この影はさっき『ハニエル様じゃないですか』と言っていた。



果たしてマルバスが自分の事を知っているだろか?



仮に知っていたとしても何かがおかしい…。



影が実体化する様を見て、虎太郎は自分がとんでもない間違いをしていた事に気付いた。



『参ったな…コイツ…マルバスじゃない…。』



『…なんだって!?』



アランが何かを言っていたが、虎太郎はそれに対して何も反応出来なかった。



明らかにオーブの色が違う。



…この色…何処かで…



─こんな姿だからワタシがわかりませんか?…ハニエル様…



眉をピクリと動かした虎太郎に彼はククッと地響きに似た笑い声を上げた。



『…お前…ぺイモンか…?』



醜いその悪魔は、堕天したかつての同胞の変わり果てた姿だった。




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