とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




インカムから聞こえた虎太郎の言葉が脳内をリフレインする。



─“マルバスじゃない…。”



右京は一瞬思考が停止し、その意味を理解出来なかった。



…どういう事だ…!?



虎太郎はそれを“ぺイモン”と呼んだ。



パンデミックがマルバスの仕業なら説明出来た。



…マルバスじゃないとしたら誰がパンデミックを起こした…?



わぁっ!!という歓声で右京は我に返り、ステージを見下ろす。



アンコールが終了し、バンドの4人が『ありがとう!』とファンに手を振る姿が目に入った。



右京は虎太郎の事が気になったが、自分のすべき事がまだ残っているのを思い出し立ち上がる。



…虎太郎ならきっと大丈夫…。



右京は舞台裏でライヴ成功を祝うスタッフに紛れて込むと、ターゲットの後を追った。




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