とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
廊下の先でスタッフと談笑するメンバーを離れた位置にあった自販機の影から観察する。
右京はそれを見ながらずっと考えていた。
虎太郎の対峙しているぺイモンは闇に潜む悪魔だった。
かつては天界で神に仕えていたが、かなり前に堕天されたと聞いた事がある。
その際ぺイモンは影の中に閉じ込められた。
さっきも虎太郎が瞬時に察知出来なかったのもそのせいかもれない。
だが、姿を隠す事が出来ても疫病をもたらす力は無かったはずだ。
今回のパンデミックが悪魔の仕業なら、やはりマルバスが関与しているはずなのだ。
談笑していたvaleのメンバーが動き出す。
『あ…俺ドリンク買ってから戻るわ。』
『アダム!俺のも頼むよ!』
テリーに手を挙げて応えたアダムがこちらに戻って来る気配を感じた。