とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
アダムは口元に笑みを浮かべながら自販機の前で小銭を弄ぶ。
『…また会えると思ってたよ…ウキョウ。』
視線は合わさずにアダムは右京にそう声を掛けた。
『…ぺイモンを召喚したのはお前か?』
『そうだとしたら?』
アダムがドリンクのボタンを押すとガコンッとコーラのペットボトルが落ちる。
『…何が狙いだ?』
『ふっ…面白い事を言うね…。』
クスッと笑うと彼はコーラを取り出し、キャップを捻った。
グビグビと喉を鳴らしながらコーラを煽ると、彼は右京に初めて目を向けた。
『本当は判ってんじゃないの?』
『“俺”か…。』
『ハニエルに邪魔されたくないからね。』
首を竦め、おどけるアダムを右京はギロリと睨んだ。