とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~


アダムは右京に動じる事無く涼しげに微笑む。



『あの方が君を欲していてね…ゼウス側渡すなって言われてるんだ。』



耳を疑うような彼の言葉…。



その意味を考え、右京はやっと理解した。



…そうか、そういう事だったのか…!



『パンデミックはお前の仕業だな?』



右京の言葉にP2にいたアランが息を飲んだのが判った。



『俺たちは根本的に間違えてたんだ…。コイツがマルバスを召喚したんじゃない。コイツがマルバスだったんだ。』



目の前のアダムは嬉しそうにニッコリと笑った。



『別に俺たちは人間の殺戮が目的じゃない。ほら、パンデミックは起こしたけど、誰も死んでないだろ?』



『“今は”ってだけだろ?』



『意外に鋭いんだね・・・。まぁ、そうなるかな?』



『…はっきり言えよ…。』



牽制するように右京は腕を組んだままアダムを正面から睨み付けた。



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