とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ふと、『おい、アダム!』と彼を呼ぶ声が聞こえた。
右京は駆け寄ってくるテリーにピクリと眉を動かすと、クルリと背を向け自販機に小銭を入れた。
『おそいよぉ~!この後打ち上げ行くって!』
『ああ、そう。じゃあ行こうか。』
ベンチから立ち上がったアダムの後を追うテリーが見えた。
『おい!』
右京の声に二人は同時に振り返る。
『奢りだ。』
そう言って彼は取り出し口から出てきたコーラのペットボトルを思いっきり投げつけた。
が、ボトルは手を伸ばしたアダムの方ではなく、何故かテリーの方角へ…。
─バコンッ!!
案の定それはテリーの顔面に直撃し、彼がひっくり返る様を見て右京はニヤリと笑った。
そしてその場を去っていく右京をアダムは一瞬唖然と見つめ、『…何故?』と本気で首を傾げたのだった。