とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



“vale”の人気は相変わらずで、マルバスであるアダムも健在だ。



あちこちでこの手のポスターを見る度に、写真であるにも関わらず視線を感じる気がしてならない。



彼はいわば右京の“監視役”なのだろうから実際何処かで見てるのかもしれないが…。



「…にしても出過ぎだろ…」



「仕方ないじゃない、カッコイイんだから…」



「…俺より?」



「…芸能人に変な対抗意識持つのやめたら?」



忍は呆れてそう言うが、毎日何度となく“テリー”の名を聞かされれば対抗意識の一つや二つ持って当たり前だと思うのだ。



「右京もバンド組んでみたら?」



「…俺に何を求めてんだよ…。ありえないから!」



忍のハマり具合も、ここまで来ると逆に清々しいくらいだった。

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