とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
右京を信じていない訳ではないが、セリの話を聞いて不安になってしまう自分が居た。
独りになった帰り道、忍はぼんやり考える。
が、次第にうじうじと悩む自分にイライラして来て足を止めた。
「…聞いてみよう。」
そして携帯を取り出すと右京に電話を掛けた。
「もしもし?」
「私だけど…」
騒がしい電話の向こうで彼がクスッと笑ったのが判る。
「そんなの知ってるから…。セリと会ってたんじゃないの?」
「うん、今帰り。…ねぇ、右京。」
「ん?」
「浮気してる?」
「……なんだって?」
「だからぁ~浮気してるの?」
数秒の間があり、右京がはぁ…とため息を着いた。