とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



「で?俺が浮気してるかって?するわけねぇじゃん。なんでそんな当たり前の事聞くわけ?俺、そんな信用ないの?」



早口でまくし立てる右京に忍は俯いて手元に視線を落とす。



イライラしてるらしい彼は「こっち向け!」と忍の顎を掴み上げた。



「だ、だって…」



「あぁ!?聞こえねぇよ!ちゃんと喋れよ!」



「だって!セリに言われたんだもん!結婚に踏み切らないのは浮気してるんじゃないかって…。」



「お前もそれを疑ったのか?」



「わ、私はただ安心したかったの!」



泣くもんかと我慢していた涙腺が一気に緩む。



「即答して欲しかった!“お前だけだよ”って言って欲しかった!なのに…なのに…」



遂に泣き出した忍を抱き寄せ、右京は耳元で「ごめん…」と囁いた。




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