とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「こんなに愛してんのに…何が不安なんだよ…」
苦しいくらい抱き締める彼の腕の中で嗚咽を漏らしながら忍が「ごめんなさい…」と呟いた。
「俺が愛してるのも、キスしたいのも、触れたいと思うのも忍だけだよ…」
まるで夢なんじゃないかと思うくらい右京の甘い台詞。
少し身を離して彼を見上げたら、目眩のするほど優しい瞳に見詰められる。
右京の艶のある熱を含んだグリーンアイに吸い込まれる。
その瞳をちょっと伏せて、息がかかるくらいの距離で焦らす唇。
「キスして。」
右京の囁きに忍は彼の首に腕を回すと背伸びして…啄むようなキスをした。
「足りないよ、忍…」
右京の深く長いキスに溶けそうになる。
忍は倒れないように彼の腕にしがみついた。
ゆっくりと名残惜しそうに唇を離すと、少し上がった息をする彼女にコツンと額を付け…甘い余韻に浸る。
…と、右京がクスクスと笑い出した。