とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「“お前だけって言って欲しかった”…か。…ふふふ…」
「な、なによ!笑わなくたっていいじゃない!」
真っ赤になって怒る忍に右京はゲラゲラと笑う。
「あはは!…嬉しいよ…忍にも独占欲があるのが判って。」
右京が本当に嬉しそうな顔をするから、恥ずかしくて忍は視線を反らした。
「さて…仲直りしたし…飲み行く?」
「…行く。」
手を繋いで歩きながら、右京は思い出したように口を開いた。
「あ、別に俺、結婚を躊躇してたわけじゃないからな?」
「えっ…?」
「なんなら明日にでも籍入れたって構わないよ?」
「あ、明日!?」
「あのクソ親父を説得出来たらね…」
それを聞いた忍は「…あぁ…そういう事…」と思わずため息を溢した。