とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
忍の父は「駄目だ。許さん。」の一点張りで、思うように事が進まないと右京は愚痴る。
「俺、誰と結婚すんのか時々判んなくなるよ…」
「まぁ…解ってた事だけどね…」
おまけに仕事においても無理を言って来たり、公私混同もいいところだと右京は思う。
「俺的には忍はもう奥さんだと思ってるよ?」
恥ずかしげもなくサラッとそう言える右京に忍は呆れるを通り越して関心する。
「…なんか、悩んじゃった私が馬鹿みたい…」
「うん、馬鹿みたいじゃなくて馬鹿だろ。」
いつもみたいにじゃれ合って歩く。
いい歳して…と思いながらもそんな距離感が右京は好きだった。
「…忍…」
「ん~?」
ふと見せた右京の寂しげな表情に忍は首を傾げる。
「…なんでもない。」
“ずっと傍に居て欲しい”の一言が言えなかった。