とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
忍はバスルームの入口に右京の気配を感じて振り返った。
服を脱いでいた忍は彼と目が合って固まる。
「俺も一緒に入っていい?」
「だ、だめ~!出てって!」
パタンと閉めた自分の手を見て忍は「えっ!?」と驚くと今度は扉を勢い良く開いた。
「う、右京!こここ、これ…!」
「ん~?」
知らないうちに左手の薬指に増えていたリングを彼の目の前に突き付ける。
「指輪だろ?」
「じゃなくて…!いつの間に!?」
「昨日お前が寝てる間に。」
ぽかーんと口を開けたままの忍を見て右京は楽しげに微笑む。
「気に入った?」
「素敵…これ、ルビー?」
紅く光るその石は、彼の瞳の色に似ていた。