とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




右京が目を覚ましたのは1時間程してからだった。



まだ目的地の新潟まで30分程かかりそうだ。



隣の忍はというと、駅で買ったお弁当を既に食べ始めていた。



「…俺をさし置いて…普通、先に食うか!?」



「あれ…起きたの?…起こしたんだけど起きなかったから…」



忍は右京の分の駅弁を渡す。



「たまにはこうやってのんびり旅行も楽しいね。…駅弁美味しいし!」



確かに駅弁は絶品だった。



だが、右京はそれよりも忍が隣に居るだけで満足だった。



「二人きりで旅行なんて今までしたこと無かったしな。」



「言われてみればそうね~…誰かしら一緒だったし。」



「“婚前旅行”ってやつ?」



「ぷっ…婚前旅行が一泊なんてショボ過ぎるよぉ!」



二人でそんな話をしながら食事を終えると、もうすぐ到着のアナウンスが聞こえた。




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