とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
神社の鳥居を潜ったところで右京は忍をそっと降ろすと、彼女は脱力してフラフラだった。
そんな様子の忍を右京は楽しげに覗き込む。
「参った?」
「はい…参りました…。」
こんな事なら素直に上れば良かった…。
その場にしゃがみ込んでバクバクと煩い心臓を落ち着かせる。
右京はといえば、忍を置いてスタスタと境内を散策しはじめていた。
そして周辺の雑木林を見上げ、足を止めた。
忍はふぅと深く息を吐きながら、ゆっくりと右京へ近付いた。
「見て…あれ。」
忍を振り返った右京が雑木林の上部を指差す。
「傷…?…あんな高い位置だったんだ…。」
忍はカメラを取り出し、それを画像に収めた。
「人がやったとしたら随分な重労働だったでしょうね…」
「ん…。まず無理だな。」
ザッと見て一番高い位置で3m程はあるだろう。