とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「“鎌鼬”の正体も実は別な何かって事…?」
「おそらく。じゃないと世界各国で起きてる類似事件の説明が出来ない。」
忍は「なるほど」と呟くと、その正体について考えた。
目撃情報から考えて、それは目に見えず高速で宙を移動する。
「…風を操る…妖精かしら…?」
「かもね。でも妖精や精霊はむやみに人を襲ったりしない。…それにこんなに頻繁にあちこちに現れるのは妙だよ。」
そこまで言うと右京は忍の手を取って歩き出した。
「少し奥に寺があるんだったね。行ってみよう。」
「うん。…でも暗くなる前に帰って来よう…?」
それを聞いた右京は思わず吹き出す。
「ま~だそっち系怖いわけ!?」
「…言われると思った…」
どうも心霊の類いは昔から苦手だ。
「今度肝試しでもするか…」
「やだ…!絶対やだ!」
瞳を潤ませて懇願する忍に右京が意地の悪い笑みを浮かべた。