とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
右京は忍に「最近優しくない!」と言われたが、決してそんなつもりは無かった。
ただ、忍の反応ひとつひとつが可愛くてついついからかってしまうのだ。
今だってちょっと意地悪な冗談を言っただけで必死になるし…。
怒ってる忍も、笑ってる忍も…彼女の全てが愛しくて仕方ない。
こんな場所じゃなかったら直ぐにでも押し倒したいくらい…。
「…まぁ、暗くなる前に帰って来よう。」
右京の言葉に安心したらしい忍には悪いが、その理由はもちろん邪な気持ちのせいなのだが…。
「あ!あれじゃない?」
小道の前方に小さな寺院が見えた。
「なんか、雰囲気あるな…」
「や、やめてよ~!」
冗談ではなく本当に何かが出てきそうな、鬱蒼とした感じの寺院だった。