とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
普通なら「“鎌鼬”なんて」と馬鹿にするだろう。
だが彼は端からまるで“鎌鼬”の仕業だとでも言いたげな口振りだった。
「住職は見たんですか…“鎌鼬”を…」
「ははは!鎌鼬は目に見えませんよ。そういう妖怪ですから。」
確かにそうなのだが、何か知っているようにも思えた。
そこで右京はちょっと賭けに出た。
「まぁ、個人的には誰かのイタズラじゃないかと思うんですけど。」
「いや、あれは人の仕業ではありません!」
住職の言葉に右京の口角が少し上がった。
「何故そう言い切れるんです?…見てもいないのに…」
右京の言葉に住職は少し戸惑いの色を見せた。
「…鎌鼬は見てませんが、実は“声”を聞いたんですよ。」
「“声”…?」
予想外の答えに右京と忍は顔を見合わせた。