とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
露天風呂のお湯は熱いくらいだった。
まさか温泉に入れるとは思って無かった右京は素直に嬉しかった。
二人でお湯に浸かりながらふぅ~と至福の溜め息を着く。
「そういえばさっきの話の続きなんだけどさ…」
「うん?」
「やっぱり“鎌鼬”の仕業じゃない気がするんだ…。」
「じゃあ、住職の話が狂言って事?」
そう聞く忍に右京はう~んと露天風呂の縁に肘を着いて考える仕草をした。
「住職の話は別に狂言じゃない気がする…。」
…例えば、住職が勘違いしているのだとしたら…?
声を聞いたのも事実。
だが、それが“犬神”の声じゃなかったとすれば、違和感の説明がつく。