とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「でもあの木々の傷は、どう見ても誰かのイタズラじゃないわ…。」
だとしたらやはりこの地方に伝わる“鎌鼬”だと考えるのが自然だ。
「…それが“狙い”…なんじゃないかな…?」
「…わざと“鎌鼬”の仕業に見せかけた…?」
「多分。…日本ならその手の伝承は腐る程ある。」
「じゃあ、海外は?…その説明が着かないじゃない。」
「つくさ。“ロッズ”だよ。」
目に見えない高速移動する未確認生物の仕業にしてしまえば、伝承なんて関係ない。
ただ、今回は運良く日本だったってだけ。
「そこまで言うなら、右京は何の仕業だと思うの?」
「“自縛霊”。」
「……えっ?」
「つまり“怨霊”だよ。日本では幽霊って解釈されるけど、それは“精霊”の一種だ。」
忍は何となく寒気を感じて身震いをした。