とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



それから忍は右京にベッタリくっついて離れなかった。



右京としては嬉しいのだが、さすがに動きづらい。



「…忍…浴衣着れない…。」



「だって怖いんだもん!いいじゃん、着なくても~!」



「…まぁ、どうせ後で脱ぐけど…お土産見に行くんだろ?」



「…行く…。」



「じゃあ、この格好はちょっと…。」



さすがにトランク一枚で出歩く訳にはいかないだろう



忍はやっと諦めて手を放した。



右京は浴衣を着ると「そこまで怖がらなくても」と笑った。



二人はロビーにある土産コーナーを物色する。



その間も忍は右京の腕をしっかり掴んでいた。



多分、端から見たらラブラブなカップルに見えるはずだ。



確かに仲はいいが、忍がここまで右京にベッタリな状況は珍しい。



当の右京ですら少し照れてしまうくらいだった。



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