とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
部屋に戻ると既に布団が敷かれており、それを見た右京がポツリと呟いた。
「…二組もいらないのに…」
「い、要りますから!」
「あそ?じゃあ、忍一人で寝れるの?」
「…寝れるわよ…」
「ふ~ん…。」
右京に半眼で睨まれ、後に引けなくなった忍は布団を頭まですっぽり被った。
右京が灯りを消すと部屋の中は真っ暗になった。
月も出ていないらしく、障子越しの明かりもない。
尚且つ外は風が強く、窓がガタガタと鳴る音が響いた。
それを聞いていたら寺の住職の話を思い出し、忍は益々寝れそうに無かった。
「…強情だな…怖いんだろ?」
「うっ…うるさい!」
「ククク…忍?こっち来てもいいよ?」
「大丈夫だもん!」
「いいから来いって!」
右京に腕を引かれて彼の布団に引きずり込まれた忍は、もぞもぞと顔を上げた。