とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
腕の中の自分を見つめる右京に忍は気まずさを感じた。
「…本当に大丈夫なのに…」
「忍が大丈夫でも俺が大丈夫じゃない。」
そう囁くと右京の手が忍の首に触れた。
そっと撫でられくすぐったくてちょっと身をよじる。
「…ねぇ忍…俺とイギリス行かないかって言ったら…お前どうする?」
「えっ?」
「就職の話、母さんから聞いた?」
「ん…ちらっとね。」
「あの時、つい“忍を連れて行く”って言っちゃったけど…忍が嫌だったら別にいいから…」
忍は驚いて右京の顔を見ると、少し切なそうに微笑む彼が居た。
「…なんか右京っぽくない。」
「ふふ…そうかもな。」
「私は…やだな…」
忍の言葉に右京は「そっか」と小さく答えた。