とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



その黒幕が天界と繋がっていない事を祈るしかない。



「右京…やっぱり俺、黄泉に戻ってみる。」



虎太郎はもう私情がどうと言えないと判断したらしい。



そして立ち上がった時、何かを思い付いたように右京を振り返った。



「…その黒幕…ただの悪魔じゃないかもしれない。」



「…というと?」



「これは仮定なんだけど…もし、天界の抗争が関係してたら…」



考えたくないが、その可能性は大いにある。



「…気をつけて。凄く嫌な予感がするよ…。」



虎太郎はそう言い残して店を出ていった。



その様子を見ていたガクに「大丈夫か?」と言われ、右京は顔を上げた。



「どうかな…ヤバいかもしれない。」



ガクは右京の言葉には答えず、黙ってシェイカーを振った。



慣れた手つきでその中の液体をグラスに注ぐと、「奢りだ」と言って右京の前に置いた。




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