とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
机に向かって論文を書いていたものの、あの郵便物が気になって手を止めた。
右京は引き出しに視線を投げ思考を巡らせる。
“何故、自分の所に届いたのだろうか?”
それは英国軍大佐が差出人であり、『右京を軍に入隊させたい』という内容だった。
本来、軍に入隊するならば、イギリスでの永住権がなければ不可能である。
だが、先程の手紙にはこう書かれていた。
“貴殿が入隊を希望してくれるのであれば、特例を設ける”
と…。
誰かが密告したとしか考えられなかった。
それは右京の能力を知っていて、且つ軍の上層部に進言できる人物…。
そんな事が出来そうなのは“彼”以外思い付かない。
右京は携帯を手に取るとアランへ電話を掛けた。