とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



右京がそのグラスに手を伸ばすのを見ながらガクは静かに言葉を発した。



「…俺はお前らの世界に関しては判らねぇ。…けど、俺らの世界じゃ抗争の基本は勢力の拡大だ。」



「…勢力の拡大…」



「そう。力で勝てないなら数を…数で勝てないなら力を手に入れるのさ。」



ガクの言いたい事が判らず右京は眉を寄せた。



「…俺が思うに、もしお前らの世界の抗争がこっちに及ぶとすれば…こっちの“力”があるヤツに接触するだろうな。」



…つまり、下界に居る“力”があるヤツ…。



右京はガクが自分の事を言って居るのだと気付き表情を強張らせた。



「…あり得るかもしれないな…」



…俺はその時…どうすればいい…?



答えが出せないまま無情にも時だけが過ぎていった。



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