とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




何一つ事件は解決しないまま数日が経ったある日、右京は叔父に呼び出された。



「スーツ着て来いよ?家にあるから母さんに言って出して貰え!」



一方的にそう言って切れた電話を睨む。



「…なんなんだ、一体…」



まさか忍との仲を引き裂く為に無理矢理“お見合い”とか…?



「…何言ってんの…人事部に連れてくってこの前言ってたわよ?」



…そうか、人事部に…



「って、なんだ!?…読心術!?」



真後ろに立っている叔母を振り返り、独りで焦りまくる右京に彼女は溜め息を着いた。



「独り言言ってたのは右京じゃない!…いいからこっち来なさい。」



どうも考え込むと、時々知らないうちに独り言を言っているらしい。



右京は頭を掻きながら叔母の後についていった。



叔母はクロゼットから真新しいスーツを取り出すと右京に手渡した。



「ちょっと早いけど、お父さんから卒業祝いよ。」



「…えっ?マジで?」



まさかそんな物を貰えるとは思って無かった右京は、驚くと同時に胸が熱くなった。



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