とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
この時季にスーツはさすがに暑そうだが、右京は嬉しくて早速袖を通した。
「丈もピッタリね。…で、これは私からの卒業祝いよ。」
そう言って叔母は数本のネクタイをくれた。
「うわぁ…マジで嬉しいんだけど…!」
「忍に見立てて貰ったのよ?」
…忍はこの事知ってたのか…
サプライズに感動しながらネクタイを結ぶ。
「あら、いいじゃない!カッコイイわよ~」
右京が照れながら「ありがとう」と言うと叔母は満足げに笑った。
叔父の勤め先である貿易会社は高層ビルの建ち並ぶ都心にある。
右京はそこに到着すると、柄にもなく緊張しながら受付で叔父を呼び出して貰った。
数分後、その場に現れた叔父は、右京を頭の先から足の先までじろじろと観察した。