とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
そして彼に「はぁ…」と溜め息を付かれ、右京は思わずムッとする。
「…なんだよ…言われた通りスーツだろ?」
「いや、なんというか…その髪、染めて来れば良かったのに…」
「待て待て!だったらもっと早く言えよ!」
…まぁ、早く言ったところで右京の髪は染める事は不可能だが…。
昔からこの銀髪を染めようと何度も試したが、幾らやっても染まらないのだ。
叔父についてエレベーターに乗り込むと、「あのさ」と彼に話し掛けた。
「スーツ…ありがとう…なんつーか…嬉しかった。」
「ははは…気にするな。親の自己満足だ。…昔からお前は何も欲しがらないからな。」
遠慮してる訳ではないが、物欲のない右京はあまりものを欲しがらない。
執着しているといえば、バイクと忍くらいだ。
「お前も大人になったんだな…」
「なんだよ、急に…。」
「いや…あのガキがこんな立派になるなんてと思っただけだ。」
右京は叔父の言葉にちょっと照れながら「まだガキだよ」と呟いた。