とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「これから面接だっつーのに、ガキじゃ困るんだよ!」
叔父は右京の銀髪をぐしゃぐしゃに撫でながらからかった。
それは叔父なりの愛情表現で、子供の頃もよくやられたのを思い出す。
…自分だって俺をガキ扱いしてるじゃん…
内心そう思ったが、その愛情表現も右京は結構好きだった。
「まぁ、あんま心配はしてないんだけどな。」
叔父はニッと笑って5階でエレベーターを降りると、時折すれ違う社員に挨拶をしながら廊下を進んだ。
右京もそれを見習って軽く頭を下げる。
あちこちから視線を感じ、些か居心地が悪い。
だが、敢えて顔に出ないように努めた。
前を歩く叔父は“会議室”と書かれた部屋の扉を開けた。
そこには年配の男性社員が奥の椅子に座っており、右京達に気付くと立ち上がった。