とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
その男性社員は叔父に深々と頭を下げた。
「お待ちしていましたよ、黒崎部長。」
「忙しいのに済まないね。…息子の右京だ。」
実際は甥なのだが、叔父は右京を“息子”として紹介した。
右京も「はじめまして…息子の黒崎右京です」と挨拶をする。
「…あまり似てませんね…」
「ああ、コイツは養子だからな。…先に言っとくが、この髪は地毛だ。」
「あ…この目も生まれつきです。」
どう見ても日本人には見えない右京に彼は「そうなんですか!?」と驚いたようだ。
「…噂通り、なかなかの色男ですな…」
「俺の息子だからな!」
…お前さっき養子って言ってなかったか!?
調子のいい叔父にツッコミを入れたいのを必死に堪える。
そんな和やかムードのまま面接はスタートした。