暗がりの夜だから


ふわっ…と、バニラの香りに包まれる。

さっきの風にのったバニラの香りは、少年からのものだとわかる。

少年は抱き締めながら、私の背を擦る。

小さな子供を、なだめるように。


「今日はハロウィンだ。街中、僕みたいに仮装をした子供でいっぱいだ。」

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