イケメン大奥
「意地悪……」
呟くあたし。ベッドの上に白シャツ黒ズボンで、ぱたんと大の字になる。
「腕痛い」
あたしの訴えにレイの顔が曇る。
「どうしたのですか、その傷。詰所で何かあったんですか?」
「違うの」
この傷は、前回、大奥で受けた罰の時の跡が化膿したの。
レイにどう言えばいいのだろう?
この傷はレイが付けたのに……。
「気を遣わないでください」
包帯を巻いた手首を優しく見つめて、レイはベッドサイドに腰掛ける。
「その傷は……もしかして、以前、大奥で罰を受けた時のものですか?」
あたしは起き上がる。
そして頷くしかない。
「大奥で受けた怪我は、元の世界に戻られると無かったかのように完治すると報告を受けています」
レイは眉間にしわを寄せた。
何かを考えているようだ。
「こちらに来てから、再度、その傷は現れたのですか?」
また、レイの言葉に頷くしかない。
そして両手首の包帯を見ながら、言いにくい事を訴える。
「再び大奥に来てから出現して、前より悪化してるの」