イケメン大奥
「それは初耳だな」
というよりも、続けて大奥に来た上様が殆どいないのです。
レイの言葉に、あたしは再び大奥へ来た事がとても稀な事だと思い知る。
普通はあり得ない事をごり押しでしてしまった。
これから、あたしの手首の傷は、このまま悪化していくのだろうか?
「包帯を解いていいですか」
レイの申し出に両手首を並べて差し出す。
包帯を解いて傷跡を見てみると、レイの唇から安堵の息が漏れた。
「化膿しているようではありますが、手当のおかげで腫れは引いてきているみたいですね」
「良くはなっているの?」
「はっきりと申せませんが、大奥にいる間は少しずつ傷は良くなっていくのではないかと……予想なのですが」
あたしの頭の中にもある予想が浮かぶ。
大奥を出たら、この傷は再び無くなるのではないの?
そうして、
次に大奥に来る時には、また傷が現れるのでは……???
そして今度、大奥に来た時には傷跡はもっと悪化している……。
この大奥はリアル世界の時間のゆがみによって出来たもの。
だから時間は繋がっている、全然関係ないわけじゃない。
そんな気がする。