イケメン大奥
「ハルに考えている事を悟られたくなくて」
あたしは呟く。
レイがハルの事、信頼しているのだろうけれど……。
「わかりました、少しお待ちを」
深くあたしに訊く前に、レイは廊下に出て行った。
しばらくの間、帰ってこない。心細くなったとき、レイが部屋に帰ってきた。
「部屋の前に、見張りを立てましたから、どうぞお話ください。あの能力は、心を読もうとする相手が心を明け渡している状態でないと使えません」
見張りを置いてくれたんだ……。
あたしは心が読みやすい人間なんだね、気を付けないと。
表情をくるくる変えているあたしに、レイが話しかける。
「あなたは次の上様になることは、ほぼ間違いないでしょう」
ほぼ?
『ほぼ上様になる』、というのは変な表現になるけれど、そんな感じ?
「ハルがあなたの考えを読み取ってしまうと、上様になるのを阻止するかもしれないのでしょう? あなたはハルについて、何か重要な事を知ってしまったのですね。おそらくそれは、ハルは知られたくないだろう…と」
そうではないですか?
あたしは頷いた。そして驚いた。
レイは当然のごとく、やっぱりいつものごとく淡々と話したから。
内心、驚いていたりするのかしら。と勘ぐったけど、想定内なのだろう。
それか驚いていても表情に出さないように努めているとか。
「さて、あなたの考えとやらを話してくださいませんか?」
再びあたしの隣に座るレイ。
あたしは座り直して、語り始める。