イケメン大奥

「とにかくわたくしも了承した事ですので、
 あなたが今回大奥へ来たことに、責任があります」

ハルの意図には触れずに、レイは言った。


「ただ、手首の傷が消えていたのに、大奥へ来て再び現れたこと、
 そして以前よりも悪化している現象については、

 わたくしの知識と経験では分からないのです……」


そして、

大奥から外界へ出入りしているハルたち表使の者たちに訊いて、

それでも分からないならば、どうすればいいか分からないという。


「レイ」

あたしは訊いてみた。

ハルは大奥について、色んなことを知っている。

大人になってから来て他の者より知っているのは、

どこかで大奥について調べたからじゃないのかな?


「大奥の中に、この大奥について調べることが出来る場所、ある?」


はっとレイが顔を上げる。


「図書室」

「大奥にも図書室があるの!?」

「ええ、あります。大量の蔵書が天井にまで達する棚に入っています。

 読破する者は少ないでしょうが」


あたしは決めた。

自分で調べるわ。

< 147 / 190 >

この作品をシェア

pagetop