イケメン大奥
「とにかくわたくしも了承した事ですので、
あなたが今回大奥へ来たことに、責任があります」
ハルの意図には触れずに、レイは言った。
「ただ、手首の傷が消えていたのに、大奥へ来て再び現れたこと、
そして以前よりも悪化している現象については、
わたくしの知識と経験では分からないのです……」
そして、
大奥から外界へ出入りしているハルたち表使の者たちに訊いて、
それでも分からないならば、どうすればいいか分からないという。
「レイ」
あたしは訊いてみた。
ハルは大奥について、色んなことを知っている。
大人になってから来て他の者より知っているのは、
どこかで大奥について調べたからじゃないのかな?
「大奥の中に、この大奥について調べることが出来る場所、ある?」
はっとレイが顔を上げる。
「図書室」
「大奥にも図書室があるの!?」
「ええ、あります。大量の蔵書が天井にまで達する棚に入っています。
読破する者は少ないでしょうが」
あたしは決めた。
自分で調べるわ。