イケメン大奥
レイは見張りの者に先に行かせ、あたしと共に部屋を出る。
「あれ?」
廊下には誰もいない。静かに続く緑色の絨毯のみ。
「上様の御成りが触れわたれば、皆が出てまいりますよ」
そういう仕組みなんだ。
「あたしは異例中の異例なんだ」
「わたくしが大奥に来てからこんなことは初めての事です。
過去にあったと聞いたこともございません」
階段をもう1階上がるとそこには毛足の長い青絨毯が広がっていた。
見覚えのある廊下。
あたしたちは控えの間に入る。
「ローブじゃなくても良かったじゃない」
口を尖らせるあたしのローブにレイが触れる。
「脱がせやすいほうが着替えやすいでしょうに」
ちょっと/// 待ってよ。
押し戻そうとするけれど手首が痛い。
「お静かに」
レイがあたしとレイの間に衝立を置く。
「わたくしは、ここに居ますから、お着替えください」
ゆっくりで宜しいので。
レイが衝立に寄りかかって座る。そんなレイは初めて見る。