イケメン大奥
レイの唇がむさぼるように、あたしの唇の上を動く。
背中に回した手が髪を絡め取る。ん?
くいっと絡めた手を引かれて、
あたしの顎がくっと上がる。首筋にレイの唇が這っていく。
くすぐったい。
身をよじるあたしの腰を捕らえて、がっちり離さないレイ。
ど、どうなるの、この展開は!?
鎖骨の上の柔らかい部分まで、レイのは下りてゆき、そこに小さな痛みを感じて、あたしは身体を震わせた。
身体を離して部屋の鏡で首元を見る。
赤い横長のキスの唇の跡。
「この大奥にいるうちに消えなければ、
次に大奥に来る時に、また現れてくれるのでしょうか……」
切ない瞳にあたしは何も答えることが出来ない。
分からないからだ。
「失礼します」
部屋のノックがされるまで、あたしとレイは見つめ合っていた。
レイの視線が注がれるのは、
あたしに付けたレイの印。
「俺のものと記しておきたかったのです」