イケメン大奥

廊下に出るとずらりと身を伏せて、あたしを待っていた男たちの姿に出会う。

最初来た時には、かなりびっくりさせられた。


今はキヨが平伏している姿や、

末席にはランとレンが揃ってチャイナ服に身を包んでいるのを

落ち着いて確認できる。



ねぇ、みんな、あたし、帰ってきたんだよ!!!



ハルは廊下の中ほどの所で、やはり平伏してあたしを待っていた。

ほんの少し歩みを緩める。

先導していたレイと距離が開き、御小姓が知らせに行く。


「あたし、……上様になりました」

ただ、それだけしかハルに言えなかった。

ここでハルに対する文句や不満を言うことは、周りの者の前でハルに恥をかかせてしまう。



「上様、ご機嫌麗しゅう」

顔を上げずに白髪交じりの短髪のつむじを見せたまま、

ハルはあたしに挨拶をした。



広間は以前見たとおり、上座にマホガニーの椅子が置かれ、

あたしはそこに腰をおろす。

そして大勢の男性たちを眺める。

「上様のおなり」

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