イケメン大奥
10.格闘in図書室
皆での食事の後、
あたしたちは階を降りた。
図書室は、あたしが上様になる前にレイと過ごした部屋と
同じ階にあった。
ドアを開けると大量の埃が光を受け、舞い上がる。
開かずの扉だったのか。
一斉にくしゃみや咳をし始める者たちが増える。
「マスクを」
呉服の間勤務のランが気を利かして、御小姓たちに、
マスクを手渡す。
もちろん上様のあたしは一番に頂いた。
「皆、お腹が満たされたであろうから、
しっかりと
上様の勉強をお手伝いするように」
そうのたまわって、
一番に廊下に引き下がるレイに、
あたしは無言で肘鉄を食らわせる。
何を言ってるの、
レイの長身をこういう時に生かさないと!!!
山のような埃の舞の中に静かに並ぶ棚は、
事前に教わったとおり、天井まで高くそびえている。
「行きましょう」
あたしは先に、自ら図書室に踏み込んだ。