イケメン大奥
「蜂蜜を入れてみました」
「あ、おいしい」
マスクを顎にのせた不格好な顔が、ほころぶ。
「ランたち、呉服の間のみんなまで、巻き込んじゃってごめんね」
「いえ」
やっぱり、ランとレンの双子の兄弟達にも
関係ない知識なんだろうな。
「あれ? そういえば、ランとレンは叔父さんの紹介で、
大奥へ入ったんだっけ?」
「はい。……叔父は表使ですので」
「ほんとに?}
今、あたし、
使える情報、ゲットしちゃってたりして。
「叔父さんに訊いてみる事って、出来る?」
「それは上様ならば、
上様のお言いつけなら、可能だと思います」
レンが、お猿さんのように棚にぶら下がりつつ言う。
「あのオヤジ、堅いけど大奥には結構、詳しいかもな」
「レイ」
あたしの呼びかけに、埃で白くなった頭を振ってレイがやってくる。
「ランの叔父さん、知っている? 表使にいるの?」