イケメン大奥
「ここへ呼ぶことは可能?」
レイから、埃が飛び散る。
「確か彼も、ハルやキヨと同じように、人の心の中を
読むことが出来ますし、
呼びかけることもできるはずですが」
なんか、レイが、水浴びしてブルブル水しぶきを飛び散らせる
セントバーナード犬に見えてくる。
「上様がご存じなように、
表使は大変多忙な役職でして、
わたくしの呼びかけに答えてくれるかどうか……、
なんせ、確かに気難しい合理的な方ですから」
「口うるさい感じ。
でもって、頭が悪い上様は嫌いだろうな」
レン……、頭が悪くてごめんなさい。
「無理かもしれないけれど、捜してみて。
すぐに呼べる方法があればいいのだけれど」
そうすれば、みんなこんなに埃まみれになって、
棚によじ登り、重たくて厚い百科事典みたいな書物をおろし、
ページを一冊ずつ見ていかなくていいかもしれない。
少々、気難しくたって堅かろうと
話をしてみたいと思う。
『あや姫自身が念じてみろ。その表使に来るように命じてみろよ』
キヨが想念によって
あたしにアドバイスをくれる。
とにかく、やってみよう。