イケメン大奥
11.哀れなる熱愛
お茶会は昨夜あたしが過ごした部屋で、ハルをはじめ、リツ、レイ、キヨそしてラン&レンの双子を加えて、行うことにした。
「ジャスミンティーとレモンティーを用意いたしましょう」
ランの提案とリツの主張に基づき、
紅茶に加え今回はコーヒーも用意させた。
「わしゃ、絶対コーヒーなんですわ。あんな飲みごたえのない、
お茶は飲めん」
リツは早速テーブルに出されたコーヒーをブラックで飲んでいる。
「ジャスミンティーは心を落ち着かせるのにぴったりです」
ランが入れてくれた紅茶は苦味がなく、美味しい。
「香り高いお茶は、余りにも茶葉を長く蒸らすと味が悪くなります」
「このクッキーうめえ」
レンはランの隣で、市松模様のクッキーにかぶりついている。
「さてさて、上様、ハルの話を聴くためにこの茶会を開いた
のでしょうに」
リツの言葉に、
あたしは首を振る。
なぜなら、ハルが黙ったままテーブルの物に口をつけず、
ただ、静かに佇んでいるから。
その瞳が何処を見ているのか、テーブルではない所のように、
あたしには思える。