イケメン大奥
右手とはいえ、薬指。
そこに指輪があるということは、「彼女がいる」サイン。
その可能性が大。
はぁぁぁ。
そうだよね……あんな爽やか男子が彼女ナシなんて有り得ない。
いいな~、彼女。
昼食に皆、出かけた時間なのだろう、売り場のほうは店員の掛け声もむなしく、
閑散としている。
「ああ、悪いわねぇ。先にお昼、いただいてきちゃった」
ミナミのおばちゃんが、ゆるりと売り場に戻ってきた。
暇な時間を見計らって、入ってきたという感じだ。
こんなもんだよね、あたしの現実。
控室にトボトボとお昼を食べに行きながら、
あたしの心にはさみしい風が吹きまくっていた。