イケメン大奥
……駄目だ。なかった。
どういうタイミングで「大奥」への入口は開かれるのだろう。
あたしはお鈴廊下の錠の前で、開く時を待って居るような気になる。
そこは暗くて冷たくて、ひどく寒い畳の間、なんだろうな……。
のろのろと温かい紅茶を入れ直しにキッチンへ行ったときだった。
『あや姫、聞いているか』
頭の中に深く響き渡る男の声。キヨだ。
大奥の入口、開きそうなの?
『ああ。開きそうなんだ……とにかく、今すぐだが、携帯を見てくれ』
受信メールが1通。
震えそうになりながら、メールを開いてキーワードを探す。
あった!「女子禁制、大奥解禁」
それに触れてサイトに行こうとした瞬間、またもや、あたしは、
ふっと意識を失ったのだった……。