イケメン大奥
あたしの視界の端には、同じく縛られたキヨがいる。キヨは全身をきつく縛られている。
こちらは、簡素な上下の白い服に、裸足。
どういうこと……?
あたしたち、まるで犯罪人みたいじゃない。
その心の声が聞こえたのか、キヨがうつむいていた顔を上げる。
「おふたりだけで意思の疎通をすることは許されませんよ」
すかさず、男性があたしとキヨの間に立つ。
『そんなことをしても……、こうして通じるのにな』
キヨは苦しい息の中から、絞り出すようにあたしの頭に言葉を送ってくる。
あたしたち、なぜ縛られているの?
『ばれたんだ、ごめん……』
ばれた? 何の事かわかんないよ、キヨ。
頭の中に、ゆっくりと言葉が流れ込んでくる。かなり苦しそうだ。
『大奥に、俺が、意図して、あや姫を、招き入れ、ようと、した』