イケメン大奥
3.歪んだ魅力
大広間での食事は、豪華なものだった。
先日のスコーンとアッサムティーなんて、軽食どころか、おやつどころか、
パンの端くらいな内容だろう……。
「先日、いらした時には、どのような食事をなされたのでしょう?」
目を輝かせるあたしに、皮肉を言いながらレイが料理を取り分けてくれる。
広間にはビュッフェ形式で和・洋・中華、様々な料理が並んでいる。
ボルシチやパクチーを載せたタイ料理やら、あたしの前には大量の皿が並ぶ。
なんか、中国の清国において采配をふるった、西大后(セイタイゴウ)の食事みたい。
満漢全席という、100皿にも及ぶ料理を少しずつ食したという女帝。
「どれから、お毒見をいたしましょうか」
レイが背丈と同様に長い手をもって、皿に次々と料理を取ってきて、あたしに食べるよう催促する。
毒見は、もちろんレイ。
あたしは毒見するレイを見ながら、赤くはれ上がり、今やかゆみを感じる腕をさすった。
キヨ……、いま、どうしてるかな。本当に、解放されて、食事は出来てるのかな。